実家と遊休地売却の信託
~岡山市南区O様の事例~
委託者母様:88歳 受託者 娘O様:61歳 ※父は他界
信託財産:母の住んでいる家、昔家があった遊休地(今は倉庫だけ残っている)
90歳の母が岡山で一人暮らし。ヘルパー利用しているが、認知症はあまり見られない。
O様は神戸に嫁に出ている。母のことが心配だが、神戸の義父母の介護もあってあまり帰れない。
母は、貯金も年金も多くないが、家があるので在宅で経済的には助かっている。
しかし、最近は足腰も弱っていて、高齢者住宅も検討中。
高齢者住宅に入ると、それなりにお金もかかるので、遊休地や実家を売却しようと思うが、母は耳が遠く、業者さんに合うのも面倒くさい様子で、「任せるから、養老院に行ったら、あんたが売ったら良い。私はもう小さい字とか見えんから」と言うばかり。
良い転居先が見つかって、落ち着いたら売却したいが、その時に母が字を書けなかったりすると手続きができないと聞いたし、業者さんとのやりとりも、母は既に自分でやる気がない様子。
遊休地には、ボロボロの倉庫も放置しているので、解体費用も捻出しないといけない。
贈与してもらおうと思ったが、贈与税が高いと聞いた。預金もあまり多くないので、その時がきたら速やかに売却するにはどうしたら良いか悩んでいる。
【解決事例】
民事信託で、娘さんに不動産の名義変更をした。
委託者:母 受託者:娘さん 受益者:母
信託の目的:不動産の処分と老後費用の管理
【効果】
信託を原因として娘さんに所有権移転することで
- 贈与税がかからず、贈与より低い登録免許税で名義移転をすることができた
- 信託で預けているだけの状態なので、不動産取得税もかからず名義移転できた
- 信託契約費用はかかったが、贈与と比較すると安価に済ませる結果となった
- 売却時にお母様が認知症でも、娘さんの契約と印鑑で売却できるようになった
- 売却後は、売却代金を介護費用として娘さんが管理できるようになり、成年後見の心配も減った
【今回のポイント】
案外多いのが、不動産はあるが現金が少ないので、いずれ換金したいという相談。
実家に住めなくなってから売却したいが、その時には認知症で売れないという問題を事前に信託で娘さんに預けておくことで解決することができた。
娘さんは一人っ子ということで、家族関係の対立がなかった。
認知症が進行する前に手を打っておくことができたのが、何より良かった。